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ブログは物書きを救う 「ライターはブログをやるべきだ!」

本が出せなくてもブログがある

  マンガ原稿料はなぜ安いのか? 竹熊漫談
『マンガ原稿料はなぜ安いのか? 竹熊漫談』(04年、イースト・プレス)。漫画業界裏話満載のエッセイ集。
 
今、単行本を1万部売るのが難しい時代です。5000部確実に売れるのなら出してくれる版元はありますけど、その印税だけで生活するのはなかなかきつい。印税も10%もらえればいいけど、版元によっては8%ってこともある。仮に10%で定価1400円の本を出したとしても一冊につき140円。5000部で70万円でしょ。これだと年に3~4冊は出して、平行して雑誌の仕事をやって、ようやく人並みの生活ができるってところ。だから40過ぎても物書きを続けたいと思ったら、30代のうちに本を何冊出してるかが勝負になりますよね。著作はライターにとっての名刺みたいなもの。雑誌の仕事って、いくらやっても実績にはならないんですよ。
 でも今は、そもそも本が出しづらい状況だし、出してもなかなか儲からない。それでも僕なんか出してもらえるからまだいいけど、3000部しか売れない人の場合は最初から本は出せないわけですよ。採算点を割り込むと思われて。それで地味かもしれないが、内容的にいい仕事をする人が埋もれてしまうのが現状なんですね。
 ここ数年、出版不況が深刻になってきて、いよいよ業界も余裕がなくなってきてます。だから日銭を稼ぐ雑誌仕事をこなしていくしかないんだけど、歳をとるにつれて雑誌はきつくなってくるよね。サブカル系は特に(笑)。

 僕自身、プライベートなゴタゴタも重なって、実は一昨年あたりからほとんど仕事してなかったんです。企画書もって出版社に行くのも嫌になっちゃって。だいたい僕の企画は面倒なのが多いから、ぜんぜん通らない(笑)。
 いや、仕事はあったんです。僕がなまけていただけなんです。依頼仕事をルーティンでこなすのに疲れてしまったというだけです。個人的にやりたい企画が通らなくて、もうあまりやりたくないような、何度もやったような注文仕事が何年も続いて、イヤになっちゃったんですね。それで家でグダグダして貯金を取り崩す状況が続いて、さすがに将来が心配にもなってきました。
 やりたいことは沢山あるんですよ。じゃあどうすればいいんだと考えて、そういえばインターネットがあったなと。金になろうがなるまいが、とにかく書きたいことをそのまま世の中に出しちゃえばいいんだって思ったんですね。だから趣味ではなく、本気で書いているんですよ。そしたら精神的にすごくラクになりました。やはり発表できるかどうか、反応があるかどうかで物書きは活性化しますよね。こうなりゃ、生活は後からついてくるものなんです。
 まあそういうある意味贅沢な生活ができるのも、幸いにして今の僕が独り身だからでしょうけど。これで妻子がいたら、ストレスで入院していたかもわからない(笑)。

オンデマンド出版の時代も近い

  ココログブックスラインナップ
有名人ブログだけでなく、一般ユーザーのココログも書籍化。今後「フクダカヨ絵日記」「なんでも作るよ。」を出版予定。
 
話は少し変わりますけど、オンデマンド出版がもうちょっとうまく機能するようになってくれるといいですね。コンテンツと宣伝はブログ、印刷はオンデマンド、流通はオンライン書店という形でうまく連動するシステムができないでしょうかね。そうすれば、注文部数だけを作るわけだから在庫を抱える必要がないし、既成の書店に流さなくてもいいから取次も関係ない。中間のマージンがなくなれば、発行部数1000部だって元が取れるんじゃないかと思うわけですよ。普通の出版社だったら1000部じゃ絶対出してくれないけど、この産地直送システムだったら成り立つと思うんですがね。
 いい仕事をするのに、売れないという烙印を押されたライターや作家が、このシステムでどんどん本を出せるようになるといいですよね。このへんでもう一発ブレイクスルーがあれば状況が変わると思うんですけど。特に、現状のオンデマンド出版は一冊あたりのコストが高すぎます。これが普通の価格で、少部数からも出せるようにならなければ。
 一番いいのは、ココログでもよそのブログサービスでもいいんだけど、「Amazon」なり「bk1」なりと提携して独自の出版流通ルートを作ってくれることなんですけどね。出版は個人ベースでやって、プロバイダーが印刷屋と取次を兼ねるわけです。今でもココログブックスってありますが、あれをもっと発展させる形で。

  復刊ドットコム
絶版本、品切れ本を、ユーザー投票により復刊を行っている「復刊ドットコム」。古書価が高くて手が出ない人はこちらへ。
 
復刊ドットコム」ってあるでしょ。100人の署名があれば復刊するっていう。あれも基本はオンデマンドですよね。個々の技術はもう出揃ってるんだから、それらを統合してさらにコストダウンするシステムができるまで、あとちょっとだと思うんですよね。僕が過去に出した本もほとんど絶版、というか品切れ重版未定なんですけど、古書価だけが高いという著者的にはバカらしい状況が続いてる。産地直送のオンデマンドだったら、こういう問題も解決できますしね。

現物は企画書よりも強い

  去年亡くなったうしおそうじさんという人がいるんです。戦前に円谷英二の下で特撮とアニメを作っていて、戦後は漫画家を経て『スペクトルマン』とか『快傑ライオン丸』の製作会社ピー・プロを立ち上げたエライ人なんですけど、この方に以前インタビューして感銘を受けたことがあるんですよ。
 うしおさんは自分の会社でパイロットフィルムを沢山作ったんです。新番組の見本用に、自腹で1000万円くらいかけて最初に1話分のフィルムを作っちゃうの。ところが企画が通ればテレビ局からお金が入るんだけど、お蔵入りする場合も多かった。お蔵になったら大損するのに、なんでそんなに沢山パイロットを作るのかを聞いたんですよ。効率悪いんじゃないですかと。そしたらうしおさんがこう答えたんです。「君ね、企画書なんて誰も読まないんだよ」と。「企画書じゃテレビ局の編成部長は話に乗ってこないけど、作品を作ればそれは見てくれるんだ。フィルムそのものが企画書なんだよ」って。
 これは一理あるなと思ったんですね。とにかく1本、実際の作品を作っちゃう。現物を見せれば確かに話が早い。いいか悪いか、見ればわかるわけでしょう。で、それが企画として通ればパイロットフィルムはそのまま本編の1話として使いまわしもできる。作品は作って見られなかったら何の意味もないから、企画会議でグダグダやる前に、とにかく自腹で撮影しちゃおうというのがうしお流だったんです。極端ではあるけど、これもひとつの考え方ですよね。

ブログで現状打破

 さっきの繰り返しになるけど、ライターや作家も同じで、通らない企画はこの際ブログでどんどん発表しちゃえばいいと思うんですよ。それで版元の編集者とかプロデューサーではなくて、直接、読者の判断を仰げばいい。それが注目されれば『電車男』のように次につながる可能性があるわけですよ。だいたい特撮番組と違って、文章なんてコストはかからないんだから。
 だからプロのライターがブログをやる場合でも、身辺雑記でお茶を濁さずに、もっと本気でブログをやってもいいと思いますね。本気で書けば、僕なんかより面白い物書きはたくさんいるはずなんだけどね。

また一歩、野望に近づいた!!  
 
僕自身「たけくまメモ」をはじめてまだ2カ月しか経ってませんけど、最初からブログを仕事の選択肢ととらえていました。実際にブログがきっかけで決まった仕事もぼちぼち出始めてますし、物書きとしても、状況はブログ前からはっきり変わってきました。うしおさんの言うとおり、作品は発表できなかったら意味ないわけで、発表すればそこから何かがはじまるんですよ。第一、読者からの反応があるのは精神衛生上もいいですよ。けなされようが何しようが、無反応よりはましなんですから。出せば自分の生存証明にもなるしね、俺はまだ生きてますよと(笑)。

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